大規模災害,交通事故,原発,テロ,ウィルス感染など,
私たちの暮らしはさまざまなリスクに囲まれています。
便利で快適な生活を追求することは,一方で脆くて弱い生活空間を生み出すことを意味しています。
きびしいリスクに向き合いつつ,いかに安定した居住と美しい環境と公正な社会をデザインするか。
この問題を解くために,私たちの研究室では
過去/未来のさまざまな被災地をフィールドに調査・研究を行っています。
私たちは災害に立ち向かうために生まれてきたわけではありません。
けれど,世界中の誰ひとりとして災害のリスクをまぬがれてはいません。
あるときそれは,その直前まであった日常を引き裂きます。
引き裂かれた日常とはいったいどのようなものなのでしょうか。
実際に災害に見舞われた人びとの経験は,その疑問に多くの手がかりを与えてくれます。
被災地に通い,被災者に会い,彼/彼女らの体験に学ぶこと――
私たちはこの学びを出発点に,「日常の持続」を支える科学的知見を導き出し,
世界中の人びととシェアできるようにすることをめざしています。
田中正人
Masato TANAKA, Ph.D.
追手門学院大学地域創造学部教授,株式会社都市調査計画事務所取締役所長,NPO法人リスクデザイン研究所理事長,博士(工学)。
1969年京都市生まれ。1995年神戸大学大学院工学研究科修了。専門は都市計画・まちづくり・災害復興。和歌山大学大学院,立命館大学,兵庫県立大学大学院,東京大学まちづくり大学院,九州大学大学院ほかにて非常勤講師を歴任。日本建築学会奨励賞,日本都市計画学会論文奨励賞,地域安全学会論文奨励賞,住総研研究選奨,復興研究論文賞・最優秀論文賞受賞。著書に『減災・復興政策と社会的不平等――居住地選択機会の保障に向けて』,主な共著書に『福島復興の視点・論点――原子力災害における政策と人々の暮らし』(明石書店),『災害復興学事典』(朝倉書店),『Bologna and Kanazawa: Protection and valorization of two historic cities』(Boronia University Press),『これからの住まいとまち』(朝倉書店),『復興から日常へ』『復興と居住地移動』(以上,関西学院大学出版会)など,共訳書に『リジリエントシティ――現代都市はいかに災害から回復するのか?』(クリエイツかもがわ)。