由良町事前復興計画


更新日:2019/08/02

災害発生の前に復興計画を立てる「事前復興計画,Pre-disaster Recovery Planning」という考え方があります。まだ起こってないのに「復興」というのは違和感があるかもしれませんが,災害は,発生から復旧,復興,やがて日常に戻り,防災・減災の取り組みがあり,ふたたび災害を迎える,という循環(災害サイクルと呼ばれます)の一局面と捉えることができます。つまり「復興」は災害後であると同時に,災害前でもあることが分かります。また,発災直前直後の避難や救助に関心が集まる一方,その後の復興過程は実際に災害が起こってからでないと,あまり注目されません。しかし,まちや生活が元通りになるには長い時間がかかります。その間,どのように地域や暮らしを立て直していくのかを事前に考えておくことは,早い復興を促す上でも,また何より復興過程での関連死など,二次・三次災害(復興災害と呼ばれます)を防止する上できわめて重要です。和歌山県由良町は美しい集落です。一方,南海トラフ地震では,居住地の大半が浸水し,甚大な被害を受けると予想されています。厳しい被害を軽減するために,どのような「事前復興計画」を立て,実行すべきなのか。この問いに向き合うために,まずはこの美しい集落にどのような資源があり,人びとはどのようなつながりのもとで,どんな暮らしを展開しているのかを知ることから始める必要がある,そのように思って調査をつづけています。


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